SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

さよならの言い方なんて知らない。

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 『架見崎』と呼ばれる荒廃した都市で、1000人規模のサバイバルゲームが繰り広げられる。現実世界のようでいてそうではなく、仮想現実かそれとも異世界か、実態がまるで分からない世界『架見崎』。

 何故かゲームの参加権を得た主人公の香屋と秋穂は、かつて同じアニメ『ウォーター&ビスケット』を愛した親友トーマの姿を追って、謎めいた危険なゲームに身をさらして行く事になる。

 表向きはチーム戦の『陣取り合戦』で、統一を果たしたチームに褒美が送られる、と言うもの。ただ、当然ながらハッキリ見えているものが正解などではなく、裏側で相当複雑にこじれた謎や秘密がうごめいているような印象です。

 それが何かは分からないけど、“何かある”事にいち早く気付いているような香屋だけが全く違った視点で行動している。先読みが凄過ぎて人間離れしている風で、ゲームで得た能力ではなく、最初から備わった特性ってのが特に異彩を放っている所でしょうかね。

 香屋にとってはクリアが目的ではなく、『この世界の真相』を解く事を目的としている。対運営者的な立ち回りで、果たしてどのようにして得た特殊能力を駆使して真相へと迫って行くのか。