SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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世界でいちばん透きとおった物語

[著者:杉井光/カバーイラスト:ふすい/新潮文庫nex]★

 あらすじや帯に『ネタバレ厳禁!』とか『予測不能の結末』とか見えてしまう時点で、どうしても「これはラスト付近に何か壮大な仕掛けがあるな」と気付いてしまうわけですが。でも、そう言う所も想定した上で、読み手の好奇心を的確に突いてくれていたのかな、と思いました。

 物語に関しては、タイトルとは大分雰囲気の違う、むしろ胸の内で何かが『ドロドロと澱み濁っている』ような、全く真逆の手応えを抱いていました。なので「これの何がどう“透きとおった”なんだろうか?」と半信半疑で探りを入れるように読み進めていました。

 この印象が、終盤の真相語りから、ものの見事に一挙にひっくり返ります。もうこれ以上はギリギリのラインなので何も言いません。ただただ『凄い小説に出会ってしまった』とだけ書き添える事にします。