[著者:珠川こおり/講談社]
他人には理解出来ない『特別な感覚』を持っている事による“息苦しさ”を、嫌と言うほど味わわされる。どれだけ抵抗して説明しようとしても伝わらず、さらに相手は自分と同じ小学三年生なので整理して話しても理解得るのが難しい。
分かっているから苛めによる排除を繰り返される主人公の諦めも早く、歪み澱んだ空気が続く展開にはどうしても胸糞悪い気持ちを押さえられなくなってしまう。
理解者はただひとり、主人公に共感を教えてくれた『檸檬先生』。この先生の行く末について、実は冒頭で既に決定付けられていて、果たして最後まで辿った時にも変わらず主人公の“救い”になれているのか? 注意深く観察しながら読み進めていました。
結局主人公が檸檬先生の行動を認め受け入れている時点で、もうこっちも有無を言う間もなく受け入れざるを得ないみたいな感じでした。途中で主人公と周囲を取り巻く環境に変化が見られた所が、多分檸檬先生にとって明確な転換点だったのかなと。
もし主人公と同じく檸檬先生にも『先生』なる存在がいたならば、結末は変わっていたのかどうか……物語を終えた後で色々と考えさせられてしまいました。