SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。 ―妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら―

[著者:永野水貴/イラスト:とよた瑣織/TOブックス]

 恋焦がれた片思いの相手との成就は叶わず、理不尽な自己犠牲ばかりを強いられる。そんなウィステリアの悲劇的な姿を見て、憤りの気持ちが浮かぶでもなく、目を背けたくなるでもなく、まず彼女自身に対して強い興味を抱かされ引き付けられ目が離せなかったです。

 後になって失恋相手とそっくりな彼の息子・ロイドと初対面した時に、ようやくウィステリアと同調するように「何を今さら……!」と理不尽さと憤りが沸き上がる。

 そんなウィステリアがロイドの容姿や仕草を見て心惑わされる姿に微笑ましさなどなく、あるのは自身でも持て余す程に荒れ狂う痛みや辛さだけでした。

 ロイドの方も惹かれ始めている雰囲気はあるんですけど、もしウィステリアが抱える真実を知ったら、互いに苦しみが増す一方な気もしますが……実質二人きり(剣のサルティスは置いておいて)なので、燃え上がる可能性は極めて高いですよね。