[著者:賀東招二/イラスト:四季童子/富士見ファンタジア文庫]
もしも、世界が是正されたとして、本当は死ななくても良かったはずの人が誰も死なずに済んでいたとしたら、あるいはそれもありだったのかな、と。かなめが垣間見た『幸せな家族の食卓』『幸せな学校生活と恋愛』の夢を目の当たりにして、そんな風に思わされてしまいました。
でも、最終的に選び取った道はそうはならない道……過去は変わらず、未来は手探りで分からないまま、今現在を生きて行く、そんな日常を宗介とかなめは掴み取りました。
このラストシーンの結末の風景、正直最後の方まで到底叶わないものだと思っていて、それ程絶望に満ちた限界ギリギリの死闘だった事を思い知らされました。
それだけに尊くてかけがえのないもので、ここまで辿り着かせてもらえた事に心底「ありがとうございました!」と、感謝と喜びと嬉しさで一杯に満たされていました。