［著者：天宮暁／イラスト：あるてら／講談社ラノベ文庫］★★
帰還して現世に持ち帰った異能を奪い取ろうとす る相手との戦い。肉弾戦ではなくて頭脳戦。厄介な のは幾らか取り込んでも沸いて来そうな国家権力、 それら存在との戦い、言わば“子供対大人”の構図 で進んで行くものと思っていました。が、もっと野 放しにしていたら害を及ぼしそうな危険な存在、ゲ ームをクリアした“帰還者”が今回の相手でした。 紫苑からすれば、どんな言葉巧みに上手い話で乗 せて来ようとしても、彼自身に絶対的な利益でもな ければ乗る必要性も全く無いわけで。相手を出し抜 く事に関しては嫌らしい強さを発揮するので、飲ま れる心配も全くしてませんでしたけど。この先もっ と物語の広がりを見たかったので惜しいですね。 既刊感想：２年Ｂ組は全滅しました
［著者：トネ・コーケン／イラスト：博／角川スニーカー文庫］★★
事故で怪我を負った小熊の入院生活メイン。殆ど カブに触れられていない、カブが生活の最優先な小 熊にとっては絶望の日々……かと思いきやそうでも なかった。いや、内心で禁断症状っぽいのはあった かも知れませんが、どうしても無理な状況だと潔く 諦めもつくみたいな具合で。まあ骨折による全治５ 週間の診断だったので、まずは治療に専念しなけれ ばならず、心身共に負担が大きくカブの事を考える 余裕すら奪われていたような感じでしたけどね。 鬱屈した入院環境に身を置かれ、それでも何とか 気を紛らす事が出来たのは、大部屋同室の個性的で 愉快な入院患者達のお陰かな。今回限りな雰囲気は 寂しいので、また何処かで出逢って欲しいですね。 既刊感想：１、２、３、４
［著者：小路燦／イラスト：ｍｍｕ／角川スニーカー文庫］★★
異世界転生アンチテーゼ 転生魔王はチート転生者をチートで殺します (角川スニーカー文庫)
第24回スニーカー大賞『編集部大賞』受賞作。 なかなかに容赦ない。異世界転移転生者になんか 恨みでもあんのか？ って問い掛けたくなる位、徹 底して希望から一瞬にして絶望へ叩き落すその振る 舞い。ただの趣味って事でやってるらしいですが、 同族嫌悪の類なのか、それとも自分がやっている事 を何時か誰かに自分に仕掛けて欲しい、魔王自身こ そが他の転移者に葬り去って欲しい、そんな願望で もあるのか、その気持ちの裏返しを“趣味”として 表しているのか。心の内は読み切れませんでした。 誰に対しても絶対優位な能力ではなく、ピンポイ ントで“俺ＴＵＥＥＥに対する特効”な所が面白い ですね。今後その枠に収まらない、通用しない相手 が現れたらまた違った盛り上がりが見られるかも。
［著者：桜目禅斗／イラスト：ハリオ／角川スニーカー文庫］★★
上流学園の暗躍執事 お嬢様を邪魔するやつは影から倒してカースト制覇 (角川スニーカー文庫)
第24回スニーカー大賞『特別賞』受賞作。 完璧・冷徹・ドＳで近寄り難いオーラを常に発散 し続けているエリート女主人。最初の頃はそんなイ メージな黒露でしたが、割と意表を突かれると焦っ てボロが出たり、致命的に体力が不足しているが故 の弱点を曝け出してしまったり、実際に付き合って みると案外頼りなさとか人当たりの良さなどが露呈 してましたよね。他人を寄せ付けない雰囲気とは違 う、そんなギャップが妙に可愛らしく映りました。 しかしこの主人達って、揃いも揃って結構なポン コツじゃないですか？ まあ癖が強くて変人気質と も言えますが、絶対権力の主人が従者を従えると言 うよりは、有能従者が足りない主人を支えるみたい な、そんな構図もちょっと面白いなと思いました。
［著者：双葉三葉／イラスト：なたーしゃ／角川スニーカー文庫］★★
子守り男子の日向くんは帰宅が早い。2 (角川スニーカー文庫)
前巻で出逢う事が無かった今カノと元カノ（正確 には違うけど立ち位置的に）の初対面。割とドキド キハラハラと心拍数上げながら成り行きを見守って いましたが、意外な程に波風立ちませんでしたね。 この辺りの流れ、凄くいいなと思いました。と言 うのも、個人的には出来ればこの物語には“蕾を見 守る”“蕾を愛でる”“蕾を甘やかす”などなど、 とにかく蕾と日向を中心に据えて欲しい気持ちがあ るからなんですよね。正直あんまり日向の恋愛話に は過度に寄って欲しくないな、と思っていたので。 ただ、今回の霧子との出会いを経て、日向のちょ っとした心境の変化が今後の展開にどう影響を及ぼ すか。根幹はブレずに色々絡めてくれたらいいな。 既刊感想：１
