SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

俺のプロデュースしたエルフアイドルが可愛すぎて異世界が救われるレベル

[著者:仁木克人/イラスト:天川さつこ/電撃文庫]

物語の中では現場でアイドルに会える
 『勇者』の定義って、主人公が存在するその場所によって、きっと様々なんだろうなと、しみじみと思い知らされるようなお話でした。つまり、翔人が転移した異世界では、『ドルオタ』こそが本当に『勇者』となり得る存在だった、と言うわけですね。

 必要なのは、敵を圧倒する身体能力じゃない。真に求められていたのは、他者の心に癒しを与えるアイドルを育成するプロデュース力。翔人の『ドルオタ』経験と知識が大きな武器となる。この発想と物語への盛り込み方、なかなか面白いですよね。

 フィーリーフ達三人でグループ結成はあるのか? メノギオルとの対決の行方は? そして、もう一人のドルオタ? 色々と先の展開が楽しみですね。

ヒロインレースはもうやめませんか? ~告白禁止条約~

[著者:旭蓑雄/イラスト:Ixy/電撃文庫]

言葉で好意を示せない難易度の高さ
 三人のヒロイン達が、主人公の告白を『待つ』姿勢で、告白をされた人物が晴れて正式な恋人になれる。そんな協定を結んだ関係性で進んで行く物語。

 これ、現状の様子を見た限りで「絶対無理だろ」って断言出来る。誰一人報われずに、ヒロイン三人共倒れになってしまうと思う。何故なら、とにかく主人公の錬太郎が『超絶クソ鈍感野郎』だから。

 どれだけ好意的な素振りを見せても、錬太郎には言葉にして直接告げないと気付かれない。逆に言うと、難易度が高めだから、ヒロインレースゲームが成立してる部分もあるのかなあ。どうやってヒロインズが錬太郎を攻略して行くのか見物ですね。

グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む

[著者:佐伯庸介/イラスト:花ヶ田/電撃文庫]

未踏破領域に初めて踏み込むワクワク感
 図書館と地下迷宮とダンジョン探索。かつて将来有望な探検家だった主人公・守砂尊。不思議な書から得た能力を駆使して、過去に挫折した自分を乗り越える為、学園地下に広がる書庫迷宮攻略に挑む。

 尊が掲げている目的は『攻略』ではない。図書迷宮内の未踏破領域の『完全探索』と、迷宮で死した人材(ただし地上へ戻れば完全復活する仕様)の『救助』。この見せ方が特に興味深く面白い所。

 人助けに精力を尽くす事と、未開の地を己の手で全て暴きたい欲求。過去の尊の事情をに触れて初めて、その想いが理解出来るようになる。そこから生まれた、終盤での『何が何でも目的を果たす』、と言う力強い信念に心揺さぶられました。

エンドブルー

[著者:入間人間/イラスト:仲谷鳰/電撃文庫]

本編読む前にあとがきを読もう
 同著作『クロクロクロック』『少女妄想中。』の後日談。それを知らずに手に取って、読んでみた感想は、「先に元の物語を読んでおくべき」でした。

 読めます。一応。物語に流れる雰囲気と、女性達の奇妙なコミュニケーションには充分に浸れます。ただ、登場人物達の詳細がほとんど描かれていなかったので、その辺りは既読前提な印象でした。

 『まともではない関係』なのは、それぞれの人物像に触れてみて、何となく理解出来るんですよ。でも、そもそも『誰か』が分かってないので、残念ながらしっくり来ない。出直して来る事にします。

ぽけっと・えーす!3

[著者:蒼山サグ/イラスト:てぃんくる/電撃文庫]

全国大会出場を目指して
 小学生ポーカー大会の予選……だったんだけど、あまりに展開が駆け足過ぎて、ちょっと拍子抜けでした。うーん、脅威と感じていた結奈の策略も結局意図がよく分からず、決勝戦の割に個々の見せ場も少なくあっさり終了だったので。決勝出場を決める、最初の個人戦が一番盛り上がっていたかも。

 なんか急速にまとめに入って話を締める、みたいな雰囲気があったんですよね。和羅の妹・雪の病気の件や、小学生ヒロイン達の和羅への想いの事など、何となく綺麗に片付いてしまったような感じでした。今回は後半の短編を入れるよりも、予選決勝の様子をもっとじっくり描いて欲しかったかなあ。

既刊感想: