SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

最強不敗の神剣使い2 剣爛武闘祭編

[著者:羽田遼亮/イラスト:えいひ/富士見ファンタジア文庫]

 リヒトの『最強不敗』を度々強調している割には、なんか結構手こずってる場面があるんだよなあ。普段めちゃくちゃ『俺TUEEE』感を撒き散らしておきながら、別に無双してるわけでもないし。

 まあ、この辺は前巻でも感じてた“ちぐはぐさ”なんですけど。父親にも、力でも威圧感でも貫禄でも全く歯が立ってないし。常に『俺は全てを圧倒する』なんて自信満々な態度を出しておきながら、想定外に苦戦しまくってるし。スカッと無双が見たいのに、そうならないからもやもやが募るのかも?

 あとは、政治的な駆け引き、他者を巧みに陥れる謀略に弱い所も露呈してたかなあ。でも、実際に強いのは確かなんだよなあ。むしろこの“無双し切れない”様子に楽しみを見出すべきなのか……うーん。結局は、リヒトの自信と言動通りの俺TUEEE&無双を発揮して他を圧倒して欲しい、なのかな。

既刊感想:

幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら4 彼女になった幼馴染とキスをした

[著者:すかいふぁーむ/イラスト:葛坊煽/富士見ファンタジア文庫]

 康貴と愛沙が恋人同士で結ばれたその後、更に関係性を発展させて行くには、どうすればいいのか? 当人達よりも、まなみや有紀の方が積極的にあれこれ案を出して、康貴と愛沙の関係を盛り立てていこう、と意気込んでいるような雰囲気でした。

 そこには、まなみにも有紀にも、「康貴への恋心とキッパリ決別させて欲しい」と言う気持ちがあったのかも知れないです。有紀は大分未練たらたらでしたけど。それでも、康貴と同じように愛沙の事も好きだから、二人の関係が上手く行って欲しいと心から願っている。そんな想いも伝わって来ました。

 今回で、とりあえず物語は終幕との事。もう既に充分深まった康貴と愛沙の関係性は、これ以上広がり難いと言う判断らしいです。本音はもっと甘々な様子を見ていたかったですが、こなせるイベントは目一杯堪能出来たし、最後に二人のキスで締める結末も凄く「良かったなあ」と思えるもので満足でした。

既刊感想:

推しが俺を好きかもしれない

[著者:川田戯曲/イラスト:館田ダン/富士見ファンタジア文庫]

 もしも俺の推しアイドルがクラスメイトの美少女で、俺の事を認知して特別な交流を持ってくれるようになって、俺に恋愛感情的な好意を抱いてくれたら……と言うイタい二次元ヲタクの誇大妄想……と思わせておいて、なんか何時の間にか妄想が実現しちゃた? みたいな期待感を抱かせてくれるお話。

 正確には、『ネット発で絶大な人気を誇る若き歌姫』。芸能人と一般人、超有名人と凡人、人気歌手とその一ファン。憂花と光助の初期段階の関係性ですね。ここから、光助が憂花の『素の本性』を知り、奇妙なコミュニケーションを重ねつつ、徐々にお互いの気持ちに変化が現れて行く、と言うもの。

 基本的に、主な登場人物は光助と憂花の二人だけ。でも、登場人物の少なさによる物足りなさは全く感じませんでした。とにかく、二人の会話によるコミュニケーションが眺めていてとても楽しい。そして、感情の移り変わりの描写が非常に深くて濃い。

 特に『アイドルとファンの距離感』みたいな所での、憂花と光助はそれぞれの立場でどう向き合うべきか? について葛藤しながら答えを出して行く様子は、実に見応えのある描写で良かったですね。

貴サークルは“救世主”に配置されました2

[著者:小田一文/イラスト:肋兵器/GA文庫]

 ヒメが転生を繰り返して、魔王による世界崩壊の危機に立ち向かい続けている事や、現在の世界で魔王復活による世界滅亡の危機に晒されている事や、ナイトの同人活動が魔王復活と世界滅亡を防ぐ切り札であり、彼こそが『救世主』であると言う事。

 今回、これらの件にほとんど触れておらず、魔王関連の要素がヒメの過去回想以外で絡んで来ることもあまりなく、結局『弱小同人サークルが同人活動を頑張る』“だけ”の話になっちゃってました。

 悲喜こもごもの同人活動を通じての、きついながらも楽しい同人イベントの『空気感』は堪能出来ると思います。ただ、個人的にこの物語に求めていたモノ=ヒメの転生とナイトの救世主と同人活動と魔王復活、この辺りの関連性からの掛け合わせの様子が全然見られなかったのは、結構残念な所でした。

 文芸先輩の『魔女』の部分や、ずっと謎な存在を匂わせているフード女子中学生(確か魔王の転生体……だったはず)などは、今後ヒメの使命とナイトの救世主な要素と絡めて行って欲しいですね。

既刊感想:

泥酔彼女2 「弟クンがんばえー」「助けて」

[著者:串木野たんぼ/イラスト:加川壱互/GA文庫]

 穂澄の元カノ・水守の言動に対して、なんかずっと「気に食わねえ」って苛立ってました。常に最上段から余裕かまして見下ろすような感じで、穂澄の事情は全部掌握しているみたいな、そう言う態度が妙に鼻に付いてしまったせいかも知れないです。

 水守のかつての『5股付き合い』疑惑は、多分穂澄の誤解だと思うんですけど。その辺りは、何故か水守は肯定も否定もしない。真偽がハッキリしない上に、穂澄がいくら拒絶しても無視してグイグイ迫って来るもんだから、手に負えないんですよね。

 でも、穂澄もかつて惚れた弱味や今も振り払えない好意が残ってるのか、何だかんだ水守を受け入れちゃってたし。そこに七瀬と羊子も含めて、恋愛感情絡みの関係性が妙に曖昧でもやっとしている所に、スッキリしないイライラが募っていたのかなと。

 穂澄って、割とダメなタイプの無自覚鈍感野郎なのかなと思ったりしました。水守くらい直接的に行っても、自身の気持ちが明確に把握出来てなさそうだし。せめて羊子に気持ちには気付いて欲しいけど、これこそ羊子の方から攻めなきゃダメだろうなあ。

既刊感想: