SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

陽キャになった俺の青春至上主義2

[著者:持崎湯葉/イラスト: にゅむ/GA文庫]

 西島とか言うクソ陽キャ女がやっぱりいけ好かねえ。それはもう、気持ちが陽100%から陰100%に反転する程で。今回ほんのちょっとしか橋汰に絡んでないのにね、恐るべきはクソ陽キャパワーか。それでちょっと思ったのは、「いずれ西島も橋汰にデレねえかなあ」なんて願望だったりして。

 若干『好きな相手を苛めたくなる衝動』似てる部分も無きにしも非ずで、今の所は橋汰の立場で不快感が振り切れてるんですが、西島が橋汰に対して無関心の真逆を行ってる辺りはちょっと今後の展開で気になる要素かもなあ、と感じたりしました。

 で、ようやく今回の本題に触れると、橋汰の好感度により“面倒なこじらせ嫉妬キャラ”が一人増えた、となります。そう言った状況で、複数女子に好意を寄せられながらも、橋汰自身には『好きな相手』が明確に存在するのが面白い所で。

 ただ、橋汰はちょっとずつ他の子に対しても意識し出しているので、優柔不断のヘタレ野郎に“格落ち”してしまいそうな心配もあります。

既刊感想:

冬にそむく

[著者:石川博品/イラスト:syo5/ガガガ文庫]

 ひとつの街を舞台に、深々と雪が降り積もる情景描写の美しさに深い溜息が漏れる。そして、“特殊な状況下”で“何も特別な事などない”ような、幸久と美波の淡く儚く消え入りそうな関係の描写に触れて再び溜息が漏れました。

 本来ならば、「この異常気象ってどうなってんの?」とか「ライフラインは壊滅的なんじゃない?」みたいな所に意識が向くはずなんですが、読んでいて不思議と何にも不安や焦燥みたいなものは抱かなかったんですよね。

 幸久と美波が『冬の情景』を受け入れていて、この物語が最初から『どうにも動かせない事実』だと断言するように世界を描いているように見えたから、なのかも知れません(終盤、『冬にそむいて海の藻屑となる』みたいな予感を思わされて、そこだけは焦りが沸き上がってましたが)。

 異常気象の件は結局分からないまま。でもそれでいいんだと思います。二人の行く道の障害にはなっていないし、結局自然現象なので人の力じゃどうにもならないものだから。

魔導人形に二度目の眠りを

[著者:ケンノジ/イラスト:kakao/電撃文庫]

 人間に寄生して操る極小さな蟲こと『操蟲』。200年前の殲滅戦では、ただ人間に寄生して異形に変貌させる存在としての駆除対象だったのが、200年経った現在ではちょっと様相が違っている所が興味深い。

 対操蟲の切り札・魔導人形『子供たち』の一人で主人公のエルガを通して、ただの殲滅対象だった操蟲の変化と、彼自身の捉え方の変化などが描かれて行きます。

 一番大きな操蟲の変化は、ただの意思なき異形だったのが、『まるで人間らしい意思や感情』が垣間見えた点、でしょうかね。

 200年の間の操蟲変化(進化?)が何を意味して何をもたらすのか? また、200年封印されていた空白期間のあるエルガが、彼にとっては受け入れ難い操蟲の変化とどう向き合って行くのか? 注目して行きたい所です。

終末世界のプレアデス 星屑少女と星斬少年

[著者:谷山走太/イラスト:刀彼方/電撃文庫]

 主人公のリュートの言動に対して、作中でもう数え切れないほど“イラっ”とさせられたのは、『思春期』が『反抗期』で『身の程知らずが過ぎた』からだったのかなあ……なんて思いながら、彼の動向を眺めていました。

 でも、なんかこうリュートの『大人をイラつかせてしまう言動』ってのは、結構狙って意図的に描いてるようにも感じられたんですけど、実際の所はどうでしょうかね。

 前述の理由によって、主人公の好感度がなかなか上がってくれない物語なので、ともすればリュートに嫌悪感を抱くマイナスイメージが植え付けられるかも知れません(実際に私も正直中盤くらいまではそうでした)。

 でも、そこは未熟者の成長過程だと思ってぐっとこらえれば、その先には『ただただ好きな女の子を救いたい』と言うリュートの真っ直ぐな熱き思いに出会えるはずです。

命短し恋せよ男女

[著者:比嘉智康/イラスト:間明田/電撃文庫]

 治療方法のない難病で『余命宣告』を受けた所からの重苦しさをまるで感じさせず、それが“存在しないかのように”ひたすらに前向きに明るく、どこか吹っ切れた様に振る舞って行く。

 本当に途中までは、「余命数年なんて何かの間違いだったのでは?」と錯覚させられるほど、わちゃわちゃしたちょっとだけ複雑なラブコメ展開が楽しかったんですよね。

 ただ、そんな中でもどこかで『残りの命』は意識してしまうわけで。それがハッキリ表に出て来た時、果たして『良くない結末の予感』だった場合、それを直視できるんだろうか? なんて、バカ騒ぎを繰り広げる中でぼんやりと頭に浮かべていました。

 結末の詳細は伏せますが、一応『次巻へ続く』展開だった所で察してもらえれば。