SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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君死にたもう流星群5

[著者:松山剛/イラスト:珈琲貴族/MF文庫J]★★★

『ちょっぴり』
 今回の重要なキーワードです。2008年の平野大地、“もう一人の自分自身”に奪われた自由を取り戻す為の魔法の言葉。後々、深く深く染み込んで来る事になります。

今度は自分自身を変える為に
 これまで友人達の運命を変えて来た時より、更にもがき苦しむ事になる。それでも、誰よりも知る“過去の自分”を乗り越える為に、無力な精一杯を振り絞って向き合う大地の姿に胸を打たれる。

心が張り裂けそうになる
 勇気を振り絞って会いに来てくれた星乃が、もう一人の大地に蔑ろにされる。そのとぼとぼと立ち去る後ろ姿を見て、何度も何度も諦めず面会を求める姿を見て。呼びかけたくても叫びたくても届かない。あまりに辛過ぎてどうにかなりそうでした。

 前述の『ちょっぴり』の言葉と、憧れの宇宙飛行士の声を借りて、土壇場で過去の自分を納得させてみせる。これで、本来何も持たない無力な大地が、未来の星乃を救う為の大きな力になってくれるのだろうか。

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