SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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五人一役でも君が好き

[著者:壱日千次/イラスト:うなさか/MF文庫J]

 草食系な主人公・大河が好意を寄せる、『五人一役』を演じる五つ子姉妹に手玉に取られ、個々の特性を活かした接近で翻弄されて行く、複数ヒロイン攻略系ラブコメ……かと思いきや! 実際には全く真逆の展開で、戸惑いを隠し切れませんでした。

 この主人公、実際にはとんでもねえ野郎でした。羊の皮を被った狼、表は草食系で中身は野獣のような超肉食系、ヒロイン達に翻弄されている振りをして逆に秘密を握って困らせて悦に浸るドS気質。

 『1人を選べないから5人全員と結ばれたい』→『じゃあ重婚可能な海外へ移住しよう』とか、本気で目標に掲げて今から懸命になってる奴ですから。好きな気持ちは本気で誠実なので、クズ野郎と判断するのはちと迷う所ですが、目的成就の為にやっている事は、紛れもなく“クズの所業”ですからね。

 結局、想像してたのと大分違う方向の“ざまぁ展開”を味わう事になってしまいましたが。過程から結末まで、大河に対する好意感情の乱高下にはかなり楽しませて貰えました。

 しかし、ここからどう展開して行くでしょうね。五つ子姉妹は、大河のハーレム重婚願望を半ば認めているみたいだし。その内『自分だけを選んで欲しい』って気持ちも浮かんで来たりするのかなあ。