SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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探偵はもう、死んでいる。5

[著者:二語十/イラスト:うみぼうず/MF文庫J]

 この巻で、何となくこの物語に働いている『力』の“本質”が見えて来たかなあ、と言う手応えでした。主に、シエスタと渚の『死』と『生』について。超常現象っぽい雰囲気で、どこか現実離れした印象を抱いていて、その原因とか実体などはなかなか明確に掴ませてもらえなかったんですよね。

 君彦の特異体質が大きな影響を及ぼしていた事。それによって、本来辿るべき“確定されていたはず”の未来がねじ曲げられてしまった、と。一巻目からの道程で、「これどういう事?」と混乱を覚えていた箇所が、今回でほとんど解消された感じです。線が一本に繋がったようでスッキリしましたね。

 これまでの、『SPES』との衝突も、十二人の『調律者』達の中では、彼らが扱っている案件の内のひとつでしかなかった、と言う事だったんでしょうかね。中でも極めて危険度の高い案件だったらしいですが、これで全て片付いたとも言えなさそうで、後遺症を消し去るにはまだ時間が掛かりそう。

 君彦にとっては全然解決してなくて、むしろ新たな問題を抱えてしまったわけですが。それでも、改めて『シエスタの為に』前に進む決意をしっかり見られた事は良かったのかな? ちょっと安心しました。決して良い状況ではなくても、“仲間と共に”前向きに進んで行けるんじゃないかなと思いました。

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