SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ラグナロク:Re 2.獣たちのミメーシス

[著者:安井健太郎/イラスト:巖本英利/オーバーラップ文庫]★★

ラグナロク:Re 2.獣たちのミメーシス (オーバーラップ文庫)

ラグナロク:Re 2.獣たちのミメーシス (オーバーラップ文庫)

 元々リロイが拉致されたのが切っ掛けで、成り
行きで今回のカルテイル奪還にも関わっていたよ
うな感じです。リロイ的には深い関りは無いけれ
ど依頼されたから付き合うみたいな印象で、彼自
身が望んで自分の意思で、と言った感じは皆無だ
ったかも。それこそ成り行き任せで、強者とぶつ
かる時だけは活き活きしてるみたいな。あえて請
け負った理由を指摘するなら、最後に敵討ちを望
んだスウェインの為であったのかも知れません。
 一応前巻からの騒動は収束。ただ、リロイの獣
化についてや彼の内部に潜む何か、要するに彼の
正体自体何ら分かっておらず、話を重ねるに連れ
て徐々に開示されて行くのも楽しみな所です。

既刊感想:

無法の弁護人3 もう一人の悪魔

[著者:師走トオル/イラスト:toi8/ノベルゼロ]★★★

 証拠品のねつ造、バレたら違法、バレなきゃ合
法。前巻そういうの阿武隈が仕掛けなかったから
油断してましたが、やっぱり切羽詰まったここぞ
と言う流れでしっかりぶち込んで来ましたね。
 あくまで自分の正義を貫く為に法を侵す事を断
固拒否するか? それとも冤罪を負わされた依頼
人の無罪を掴み取る為に法を侵してまでどんな手
段でも使うべきか? 前者は本多、後者は阿武隈
の信念であったりやり方であったり。その自らの
中の意思、特に本多のそれが果たして阿武隈の影
響でどのように変わって行くのか。或いは変わら
ないままの部分も残って行くのか。その辺りは今
回の裁判の中で大きな見所だったと思います。

既刊感想:

無法の弁護人2 正しい警察との最低な戦い方

[著者:師走トオル/イラスト:toi8/ノベルゼロ]★★★

 阿武隈が関わる裁判で、一番大変なのは本多で
も検察側でも裁判官でもなく、実は裁判員の皆さ
んなのではないだろうかと。被告人に対する心証
が、検察側の証人発言で有罪に振り切れたかと思
えば、弁護側の阿武隈の巧みな話術で今度は一転
して無罪へ一気に傾いたり。そう言った攻防が面
白くもあるのですが、勿論これはフィクションと
念頭に置いて、阿武隈が活き活きと躍動する裁判
には関わりたくねぇ……ってのが裁判員視点から
見た印象ですね。それで胃が痛くなりましたよ。
 ほぼ逆転不可能からの鮮やかで見事な逆転劇は、
相変わらずの面白さでした。今度は助手に徹して
いた本多が主導の展開とかも見てみたいですね。

既刊感想:

はぐるまどらいぶ。1

[著者:かばやきだれ/イラスト:杉浩太郎/オーバーラップノベルス]★★

はぐるまどらいぶ。 1 (オーバーラップノベルス)

はぐるまどらいぶ。 1 (オーバーラップノベルス)

 食堂の看板娘から、そのまま両親の後継いで料
理人になってた方が大成して人生平穏に過ごせて
いたのでは……と、思わず言いたくなるくらい、
なかなかに苛烈な道を歩み出したアンティ・キテ
ィラ15歳。この『歯車法』なる謎スキルがアン
ティに授けられた事、そしてバーグベアの脅威が
カーディフの街を恐怖に叩き落したこのタイミン
グで歯車法を会得した事、ただの偶然では片付け
られない運命みたいなものが感じられました。
 とは言っても、クラウンギアや呪いの仮面の存
在自体、アンティ自身がわからんと言ってる程度
に謎ですが。クラウンがちょっとずつ人間の感情
に近くなっているのは何気に興味深い所です。

最果てのパラディンIV 灯火の港の群像

[著者:柳野かなた/イラスト:輪くすさが/オーバーラップ文庫]★★★

最果てのパラディンIV 灯火の港の群像 (オーバーラップ文庫)

最果てのパラディンIV 灯火の港の群像 (オーバーラップ文庫)

 邪竜ヴァラキアカとの死闘、その事後処理に当
たる中編エピソード集。これまでウィルに追随し
ながら、幾度となく彼の助力となっていた、レイ
ストフ、アンナ、ビィ、トニオ。主に彼ら彼女ら
が今回の物語で大いに見せ場があり、これまでは
進むだけで精一杯だった為、語られる機会の無か
った一面が、難事を越えて腰を落ち着けた事でよ
うやく垣間見れたような、そんな内容でした。
 あとはウィルも自身で自覚している、“周囲に
女っ気が無い事”と“色恋沙汰に無縁”な件につ
いて。単に巡り合わせが無いだけかと思ってまし
たが……まあね、これじゃあ世の女性達は太刀打
ち出来ませんわ。いずれ壮絶な姉妹のウィル争奪
戦でも見られるんでしょうかね。楽しみですね。

既刊感想:IIIII<上>III<下>