SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双する~1

[著者:ハム男/イラスト:藻/アース・スターノベル]

やり込み系の究極難易度
 この物語の最高難易度『ヘルモード』とは。何が高難度かと言うと、主人公自身の『成長率』みたいな所。ここに非常に厳しい条件が課せられている。

 例えば、通常ノーマルモードで1レベル上げる為に経験値が1必要なら、ヘルモードはその100倍=経験値100が必要になる。つまり、強くなるまでの『時間』と『労力』が膨大に掛かってしまう。

 いや、これはなかなか面白い発想ですよね。「その部分で難易度を上げて来るのか~」って感じで。コツコツ積み上げで、実験と検証を重ねて情報を蓄積して行かなければならない。更に効率的な立ち回りも求められる。敵が高難度でそれを圧倒して無双するのとは、また一味違った面白さがありました。

シュレディンガーの猫探し2

[著者:小林一星/イラスト:左/ガガガ文庫]

誰の為に『謎を解かない』のか
 今回は一冊かけての長編エピソード。八年前の学園祭で、令和の姉・飛鳥が起こした(と思われている)事件について。彼女の不名誉な濡れ衣が、今年の学園祭で掘り起こされようとしている。それを阻止すべく、令和は焔螺と『迷宮落とし』に臨む。

 大分後の方まで『真犯人は誰か?』で引っ張られるので、その辺りで興味をグイッと引き付けてくれる。『謎を解かない』が前提で、如何に謎を解こうとする相手=『探偵役』を出し抜くか。心理的な駆け引きや攻防なども、なかなか見応えありでした。

 実は今回の真の謎解きは、令和の妹・弥生の『やよいトリップ』現象に向けられている。この真相は結構意外でしたが、成る程と納得させられましたね。

既刊感想:

現実でラブコメできないとだれが決めた?2

[著者:初鹿野創/イラスト:椎名くろ/ガガガ文庫]★

耕平が思い描く最終到達点とは
 最終的に、耕平にとっての『ゴール』って、いったいどうなった状況の事を指すのだろうか? と、ふと思ったのは、今回の件で『割とめちゃくちゃ頑張ってやり切った』ような達成感を抱いたから。

 主にクラス単位のまとまりとしては、本当に最良の結末だったと思います。不意打ちにはとことん弱いので、全然耕平の思惑通りには行きせんでしたが、そこを修正しつつ狙い通り到達してみせる。見事な『変態ラブコメ脳』の執念を見せて貰いました。

 次に絡んで来るとすれば、ラストで本音を吐露した芽衣の『本質』の掘り下げか。彼女と彩乃のいわくありげな因縁についてか。あるいは、あまり手を出せていなかった日野春幸先輩の攻略などかな。

既刊感想:

うちの家庭教師がグイグイきすぎて勉強どころじゃない!2

[著者:ハマカズシ/イラスト:あやみ/ガガガ文庫]

非常に見え難い真意が裏に潜んでいる……かも?
 相変わらず、真琴の無茶苦茶な『勉強法』に振り回されている、コロちゃんこと小路石隼人少年。傍から見ている分には、思わず「ぷっ」と吹き出してしまう程に面白くて、ずっと見ていても飽きない程でした(翻弄されっ放しの隼人は気の毒だけど)。

 しかし、真琴の考えは最後まで読み切れなかったですね。意図的に生徒の自主性を引き出そうとする振る舞いなのか、それとも単なるダメ人間なのか。

 正直、全く勉強を教えず常にだらけている時点で、家庭教師失格としか思えないんですけど。でも、教育実習生の美咲に自分の『教育の在り方』を語って見せた時、ちょっと真琴に対する見方が変わりましたね。ちゃんと真剣に考えているんだなと。

既刊感想:

魔王と聖女が導く冒険者ライフ2 ―魔法適性0だけど極大魔力に覚醒しました―

[著者:有澤有/イラスト:こうましろ/GA文庫]

根本的な『英雄』とは何か
 ルシオが英雄を目指している最中の、別段特別な要素が含まれているわけでもないひとつのエピソード。これが『英雄への道』に通じているエピソードだったか、と言われたらそんなでもなかったので。

 そもそも、ルシオがなりたい『英雄』自体が割と漠然としたもので。「一体どうやったらなれるの?」みたいな疑問も、明確な答えって無いような気もするんですよね。スケールが大き過ぎて掴み所が無いと言うのかな。今回みたいなイベントを幾つこなしても、近付けている手応えは多分得られ難い。

 どうすれば英雄の称号を掴めるのか。目に見える指標が欲しいですよね。そうなれば、ルシオの言動も意味のあるものになって行くのかも知れません。

既刊感想: