SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

さよならの言い方なんて知らない。3

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 香屋が目指している、あるいは求めている結末とは、『誰もが勝者にも敗者にもならない“引き分け”的な結末』なのかな……と彼の感情や行動を追いながら思ったりしたわけですが。

 確かなのは、安易に生を奪う行為、逆に安易に死を求める行為、つまり『命を粗末に扱う事』に対して、香屋は強い怒りと拒否の反応を示していると言う点。

 臆病な存在を自覚しながら、ウォーターにとっては最大の障害となり得る、大胆不敵な彼の『裏に潜んでの先読み行為』は、心の奥底に何を抱いて為しているものなのか? いや、本当に最終的な引き分けでの決着を香屋が求めているのかは分かりませんが、もしかしたら心に秘めた“何か”が、次巻辺りで具体的に語られるかも知れません。

 なにせ、今回の終盤でそれまでの激戦の印象が吹っ飛ぶほどの、衝撃的な事実が明かされてしまいましたからね。どう受け入れるべきか……と、気持ちの整理が追い付いてません。

既刊感想:

さよならの言い方なんて知らない。2

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 何やら抽象的で意味深な言葉が出て来たけれども、当然ながら謎に包まれサッパリ分からん、な現状。あえてぼかして情報を小出しにしているように見えていて、それが興味を引く要素になっているのは確かだなあと感じました。

 とは言え、知らされないもどかしさが募るのも正直な所ですが、それも今はしょうがないと飲み込むべき事なのかも。『架見崎』での終わりなきループの8月を背景に、大きな勢力同士が複雑に絡んだ陣取り合戦は激化の一途を辿る。

 ただ、見た目の出来事が本質ではないのは分かり切っている事で、じゃあその裏に潜む“何か”をどう認識して行くのか? 香屋の『能力』で、ちょっとずつ運営の情報を引き出せてはいるものの、謎や秘密は多くて手探り状態な印象はまだしばらく続きそうな感じです。

既刊感想:

ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8

[著者:衣笠彰梧/イラスト:トモセシュンサク/MF文庫J]

 桔梗……落ちたな(ニヤニヤ)。龍園と鬼頭……ホントは修学旅行が楽しくてはしゃぎ合ってるだけだろ! 帆波……この先どうなる? とりあえず印象に残った主な場面を書き出してみました。

 表向きは『嵐の前の静けさ』的な、割と平穏に見えていた修学旅行。龍園と鬼頭は不穏な空気出しまくってましたが、表に剥き出しでバチバチにやり合っている分には、分かり易いだけ割と安心?して眺めていられました。

 逆にうっとうしくて面倒臭いのが裏でうごめいている存在。今回そっちは比較的薄めだったように感じましたが、何となく清隆への一年生の絡み方が文化祭の頃から気になり出しています。一旦は下火になってたんですけど、宝泉やら七瀬やら石上やら、裏がありそうな奴らが腹の内に何を抱えているやら……。

 あとは、この修学旅行に隠された『意図』が、この先の特別試験で『確実に影響を及ぼす』と言い切っている所はやっぱり凄く気になる。坂柳対龍園の衝突が確定的ながら、それの勝敗だけでは終わらない“かつてない衝撃”が投下されそうな予感もあります。

既刊感想:『ようこそ実力至上主義の教室へ』感想一覧

ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編7

[著者:衣笠彰梧/イラスト:トモセシュンサク/MF文庫J]

 とある人物に対して「ざまぁ」展開が見られたのでスッキリ。

 清隆とってはいつでもどうにでもなる相手ながら、色々面倒臭くてうっとうしく姑息に暗躍して回ってたので、終盤で畳み掛けるように止めを刺した展開にはとて満足でした。その現場で、清隆が表向きでは全く関わっていない(ように見せていた)所では、改めて得体の知れない彼のおぞましさが感じられましたけどね。

 前回の体育祭でハッキリしてなかった伏線は、今回でほぼ回収されていました。文化祭での進行予想を、よくもそんな前段階から想定して仕掛けられたなあと言う思いでしたが、まあ清隆なら無理でも不思議でもなんでもないのか。

 文化祭本番では色々想定外の騒動もありつつ、堀北クラスにとっては結果は上々と言えるものだったと思います。全員一致特別授業以降、割と心穏やかに見ていられのは、果たして全て『清隆の思惑通り』に動いているからなのかどうか。

 なんにせよ、鈴音を含めてクラス個人個人が目覚ましい成長を見せ、敵対者に臆する事なく向かっていける自信に繋がっているのは見ていて安心させられますね。

既刊感想:『ようこそ実力至上主義の教室へ』感想一覧

ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編6

[著者:衣笠彰梧/イラスト:トモセシュンサク/MF文庫J]

 今回、ハッキリ分からなかった事。『波瑠加が企んでいる“復讐”の実行時期と方法』『愛里の“最後の”プライベートポイントの使い道』『龍園クラスとの共闘計画時に清隆が“提案”した事』『登校拒否していたみーちゃんに“差し入れ”をした人物』。

 あとは『裏で全てを掌握してる清隆よ、ホントにお前は今後どうしたいんだよ』とか。他にもあったかも。今回の中で明確にして欲しい気持ちはありましたが、とりあえず忘れないように書き出しておく事に。

 前巻の結果を受けて、クラスの気持ちはバラバラで崩壊寸前。しかし清隆がそうはさせない。より正確には、『清隆が成長させようとしている鈴音に』そうならないようコントロールしてみせている。

 印象としては、痛みを伴う苦境を乗り越えてクラスの成長と前進が描かれていた、と言った感じ。特に鈴音と須藤の『成長』は目を見張るものがあって良かったですよね。

 しかし、体育祭を終えた時点で順調に見えているとは言え、敷かれた伏線は多く、どこに落とし穴が潜んでいるかも分からず、色々な不安要素もまだまだ拭い切れない現状です。

既刊感想:『ようこそ実力至上主義の教室へ』感想一覧