SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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天才王子の赤字国家再生術10 ~そうだ、売国しよう~

[著者:鳥羽徹/イラスト:ファルまろ/GA文庫]★

 この物語は、度々『侮られている』『蔑まれている』、無能と言われる立場の人物が登場します。そして、ウェインの手によって描かれた『逆転劇』を演じてみせてくれます。

 今回も、そんな場面がありました。読んでいて大体予想は付きます。割と分かり易いにもかかわらず、こちらの期待以上に仕上げてくれる。改めて、その辺りの描き方は本当に巧いなと思いました。

 今回は、ウェインが現地に不在で、フラーニャの遠征が主になっていました。でも、離れていても、ウェインの影響力と異常な『先読み能力』の凄さは絶大でした。

 自信に満ちた秘策を用意したドルチェイラも、決して油断や侮りはなかったと思うんですけど。想定外の誤算までは、さすがに見極め切れませんでしたね。

 印象に残ったのは、フラーニャの成長と躍動。ウェインや信頼する従者たちの助力があったとは言え、政治的な駆け引きの場での堂々とした振る舞いは見事でした。

 フラーニャ自身、今後ナトラ王国で、どんな立場を目指して行でしょうか? シリジスの言葉に押されたとは言え、一瞬でも『王位』が脳裏をよぎった段階で、既に本気で向き合う時は迫っているのかも知れませんね。

 あとは。フラム人とニニムの件でしょうか。まだどんな関わり方を見せるのかは分かりませんが、いよいよウェインの前に絡んで来そうな予感もありました。

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