SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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千歳くんはラムネ瓶のなか6

[著者:裕夢/イラスト:raemz/ガガガ文庫]★

 優空って、前から何となく、朔にとって他のヒロイン達とは違う『特別な距離感』で接しているように見えていました。

 今回の序盤で、誰を置いても真っ先に朔の元へ走る様子が見られました。それを眺めながら、優空だけは真っ直ぐな恋愛感情とはちょっと異なる、別種の感情を朔に抱いているのかな、と感じたりもしました。

 そんな優空がメインの今回のお話。彼女と朔と夕湖の関係を、過去から目一杯掘り下げ、現在のこじれた関係性に真っ直ぐ向き合って行くような展開でした。

 そんな、最初に感じていた優空の特別感は、彼女の過去を知るに連れて徐々に薄まって行きました。優空だって、朔に対する想いは他の子達と何も変わらなかったんだなあと。

 あと、夕湖の告白と、朔の返事から、仲間関係に亀裂が入った件について。これは、ハッキリ誰が悪いってわけじゃないから、誰もがどう対処していいやら分かんなくなってるんですよね。

 正確には、『本当はどうすればいいか分かっているけど、一歩を踏み出せない』でしょうか。特に朔は、過剰に相手を思いながら、過剰に自分を攻め続けていたので、ちょっと見ていて辛い所はありましたね。

 仲良しグループの恋愛事情。正直「めんどくせえ」って気持ちはありました。途中で、何度も何度も思いました。でも、その面倒臭さがたまらなく良いんですよね。

 恋愛に、迷い、悩み、葛藤して、もがき苦しむ。未熟な恋心と青春模様だが『特盛』の内容。長らく立ち止まった後で、再び歩み始める締めの部分まで、大満足でした。

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