SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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古き掟の魔法騎士IV

[著者:羊太郎/イラスト:遠坂あさぎ/富士見ファンタジア文庫]★

 物語が一気に加速して、伏せられていた真相や核心に迫る急転直下の大展開でした。今まで割とゆっくり話を進めている印象だったので、「ここまで話が大きく動くとは……」と、ちょっと驚きを隠し切れませんでした。

 帝国皇子の襲来、アルヴィンの性別が公に暴露される、王国内有力貴族の裏切り、王国内紛にまで発展しそうな大混乱……など、とにかくアルヴィンの地位が失墜させられる要素が一挙に急襲して来る感じで。一時完全に心が折れかけてしまったので、物語的には大盛り上がりの中で見ていてかなり辛かったです。

 それでも、『何とかなる』と何度も諦めそうな心を振り払う、シドの存在感と騎士としての支えはやっぱり偉大でしたね。アルヴィンの心が最底辺まで転げ落ちた後だからこそ、シドの絶大なる力と信頼感が際立つ。

 そして、彼の言葉を受けてからのアルヴィンの王としての振る舞いが、とてつもなく凛々しく頼もしく映る。前半で無残に打ちのめされただけに、特に帝国のウォルフ皇子への態度が変化するシーンは、非常に熱いものがありましたね。あまりに嬉し過ぎて、心の底から震えるくらい気持ちがたかぶってしまいました。

 そんな急展開の今回終盤、魔国のエンデアと裏で糸引くフローラの意図もようやく見え始めてきました。いまだ王国内は大混乱状態で、さらにフローラの画策がついに発動。読み手のこちらもめまぐるい状況変化に大混乱。気になる続きがとても楽しみです。

既刊感想:IIIII