SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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千歳くんはラムネ瓶のなか6.5

[著者:裕夢/イラスト:raemz/ガガガ文庫]

 「気持ちの整理はつけられたか? 夏休みが終わるまでに 二学期が始まる前に」。そんな問い掛けと確認を、それぞれひとりひとりにしっかりと聞いてみたくなるような、物語の幕間的なエピソードたちでした。

 ハッキリ言うと、みんな吹っ切れてはいなかったですよね。朔を中心に取れていた、“恋愛感情に近い何か”のバランスが一旦は総崩れになってしまったもんで、あっさり元に戻るような関係の方がむしろ不自然に見えたりする。なので、まだみんなの気持ちの整理が不完全なままで、何となくだけど「ホッとさせられた」所もあったような気がします。

 ただ、それでもいずれハッキリと答えを出さなければならない問題でもある、と思います。夕湖が先陣を切ったわけですが、その影響によって、長引けば長引くだけ誰もが息苦しい状況が続く事になるかも知れない。まあ、難しくて悩ましい所でしょうねえ。

 朔自身も誰が『本命』かは定まっていない……ように見えているし。この辺り「実際の所はどうなのかなあ?」と、常に朔の本音を聞きたいって思いはあるんですけどね。ともあれ、目に見えて変化が生じた朔たちの気持ちが、夏休みを経て二学期に入りどう揺れ動いて行くか。楽しみな所ですね。

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