SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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薬屋のひとりごと11

[著者:日向夏/イラスト:しのとうこ/ヒーロー文庫]★

 西都編の続きの続き。これまで出て来なかった玉鶯が表舞台に登場。と同時に、何の為に任氏を西都に呼んだのか、そして玉鶯自身がどんな思惑を抱えていたのか、その全てが判明します。今回は、もう玉鶯とその家系と過去の因縁が主役のような感じでした。

 中盤以降は、猫猫や任氏をそっちのけで玉鶯の策略が中心に動いてましたから。玉鶯に関するこれまで散りばめて来た伏線とその回収、終盤での畳み掛けるような怒涛の収束展開はお見事でした。非常に苦くて重い複雑な『血縁関係と為した罪』に関する話で、かなり奥深く絡み合った内容に思わず魅入ってしまいました。

 まあ、前述のように猫猫と任氏の立場は完全に“蚊帳の外”だったわけですが、多分この状況だと次は嫌でも当事者的立場に置かれる事になるでしょう。となると、まだ西都編は続くのでしょうかね。むしろ中央よりも、こちらの方がメインの舞台に移り変わりそうな雰囲気もありますが、さてどうなる事か。

既刊感想:10