SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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継母の連れ子が元カノだった9 プロポーズじゃ物足りない

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]★

 終盤の水斗と結女のやり取りの描写は『圧巻』の一言。色々見所はありましたが、今回はこの二人のシーンに尽きるんじゃないかなあ。我を忘れて「どうなるんだ……」と、“ゴクリ”と喉を鳴らしながら食い入るように魅入ってしまいました。

 正直、ここまで急転直下的に一気に『二人の覚悟』が決まるとは思ってもみませんでした。今回の最初の頃は、水斗がいさなの才能に入れ込み過ぎで、いさなの意思に関係なく水斗の願望を押し付けているような印象だったので、それが影響しての破綻までも意識してしまってたんですけどね。その辺りの印象も、終盤の展開の衝撃に飲み込まれたような感じです。

 互いに気持ちの方向性が定まり、足並みが揃ったと言う意味では『良かった』と思うべきなのでしょうか。ただ、『きょうだい』『家族』がどこまで行っても絡んで来るのは避けられない事実で、これからどんな風に描いて行くのかなあと、興味と期待と不安とが入り混じるような思いでした。

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