SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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さよならの言い方なんて知らない。7

[著者:河野裕/イラスト:越島はぐ/新潮文庫nex]

 作中のアニメ『ウォーター&ビスケットの冒険』の映像内容が、ここに来て大きな影響力と重要性を兼ね備えて襲い掛かって来たような。ただ、それが指し示す『意味』とは? みたいな話になると「随分と複雑で面倒でややこしくなって来たぞ」と思わされる展開でした。

 この物語の根幹に乗っかっている事情と言うのは、あくまで『アポリア』なるシステムの開発・運営などの『現実側に影響を及ぼすもの』であって、本来なら『作られた側』である架見崎と香屋達にとっては抗う術が持たされていない。

 それなのに、AIの『反抗』とか『自己主張』みたいな反応が、それを創造したはずの運営側を翻弄しているから、更に話が複雑に絡み合っているような感じがするんですよね。

 架見崎にとって、香屋にとって、運営にとって、何をどうしたら『最善の終着点』に着いた事になってくれるのか。もう全く先が見通せない状況へと突き進んでいる印象でした。

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