SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい3

[著者:芝村裕吏/イラスト:片桐雛太/MF文庫J]★★

大軍師の未来予測の的中率
 前回退けたリエメン軍勢。今度はこれが最後とばかりに、国を上げての総力、10万以上の数を率いてイントラシアへの侵攻を開始する。一方で、未来の大軍師ガーディは、一大決起の敵襲へ向けて、どう対処し見せるか、と言った展開。今回は特に、敵の動きを察知すべくの先読み、未来予測、みたいな部分が的確に冴え渡り過ぎでしたね。震えが走る程に。本人は割と波風立てずニコニコ穏やかなんですけど、かえってそこに凄味があるんですよね。

権能『無限の抱擁』で、何処までを救えるのか
 ただ、やはりガーディは、敵対する相手でも死を悲しみ涙する。軍師として戦場に立つ以上、自分と常に向き合わなければならない。精神的負担の重さに押し潰されないか、と言う不安は尽きません。

既刊感想:

やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい2

[著者:芝村裕吏/イラスト:片桐雛太/MF文庫J]★★

歴史に名を刻んだ場所から
 ガーディが大軍師として名を残し、既に亡くなった先の未来から、かつての足跡を辿るように歴史を振り返る。やはりこの独特な語り口は興味深い。どれくらい先の未来から、誰が、どの様な状況で見ているのか。何者かの視点で追いながら、ガーディの何処を辿り、何処まで行けば終着点となるのか。色々想像する楽しみもありますよね。

大軍師は『全て』を救いたい
 人間・亜人連合対北方の侵略者。極少数の自軍の手勢で、どの様にして大群の敵を退けるか。今回の大きな見所です。ガーディの知略の冴えを垣間見ながら、追い詰められた側の『想定外の怖さ』も見せつけられてしまいました。ガーディの衝撃が直に伝わって来た分だけ、より印象に残るシーンでした。

既刊感想:

聖剣学院の魔剣使い5

[著者:志瑞祐/イラスト:遠坂あさぎ/MF文庫J]★★

ここで語るにはまだ早い、みたいな?
 肝心な所で大事なことを告げられない、『寸止め』が相次いで、結局もやもやが募る展開。リーセリアの内に植え付けられた『黒い破片』に、敵対者が『黒幕』についてレオに口を割る寸前で始末された件など。ただ、今回は大分情報が出揃いつつあり、更に色々と整理が付いて来たかなって印象でした。

女神の預言、聖剣、魔剣、ヴォイド
 まだバラバラに散らばっている。でも、間違いなく全ての要素が繋がっている。その片鱗が少しずつ見え始めているような状況。特に気になってるのは、現世での女神の行方、黒幕の正体と意図、『魔剣計画』の全貌、リーセリアの中の破片、ヴォイド自体の謎など。まだまだ知りたい事てんこもりです。

既刊感想:

終焉ノ花嫁2

[著者:綾里けいし/イラスト:村カルキ/MF文庫J]★★

本当は平穏無事な日常の方が良いに決まってる
 平穏な日常風景のその先に、奈落の底に叩き込む『落とし穴』の存在がある事を警戒していました。この物語の雰囲気? 特性? 的なモノから放たれる匂いで、そんな和気藹々と学園祭が無事に済まされるわけはねえぞ、と。いや、何にも無ければそれが最良なんですよ。コウも精神崩壊のリスクを経て、死に物狂いで『逢魔ヶ時』を越えたわけで、どっぷり平穏に浸らせてあげたい気持ちもあるし。でも、まあ、「やっぱり……」って感じでしたかね。

何度『やり直し』を繰り返せば救われるのか
 『逢魔ヶ時』とは、誰が、何の為に、引き起こしているのか? 解明への道を辿る事で、真の救済に繋がって行きそう。ひとつ、明確になっているのは、間違いなく『人間が起こしている』と言う事。

既刊感想:

勇者の棺桶、誰が運ぶの? ポンコツ娘は救われ待ち

[著者:スフレ/イラスト:clear/MF文庫J]★★

長年の疑問のついてのひとつの解答
 某有名RPGで、死亡したら『棺桶状態』になるってあるじゃないですか。あれ、全滅してその場に残された棺桶って、『一体どうやったら教会まで戻る事が出来るんだろう?』って疑問。その明確な答えがこの中ににありました。逆にね、ドラ〇エの世界で、もしもこんな救助部隊あったら……って想像して、一人で勝手に盛り上がってしまいましたよ。

薬や魔法で回復出来ないこの世の中だからこそ
 この世界は、基本、自然治癒以外で『人体の回復手段』が失われている。なので『救助隊員』に大きな需要がある。ただ、能力自体は『人命救助特化』で、魔物に対する攻撃力に秀でているわけではない。そう言った『常に死と隣り合わせ』の命懸けな所は、現実の人命救助活動と通ずる所もあるのかも。