SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの

[著者:岩田洋季/イラスト:みわべさくら/電撃文庫]★★

好きになった事を真剣に考えてゆく
 まず一目惚れをした所から始まる。その先で『何故一目惚れをしたのか?』『どうしてこの人に惹かれたのか?』『好きだと思ってしまったのか?』の疑問を、後追いで探して行く。旭と夏菜子先輩、互いに惹かれる理由を求めて、自然に距離を縮めて行くような展開。先輩彼女に翻弄される主人公男子の状況から、相手の事を知るに連れて、少しずつ変化を見せる。この辺り、特に時間を掛けてじっくりと丁寧に『二人だけの空間』描いて見せてくれます。

進展を後押しする雰囲気作り
 会話や行動を共にするより、シチュエーションや場の雰囲気で、距離を詰めている印象でした。曖昧だった関係が、気付けばいつの間にか強固に確定したような。そう言う流れは凄く良かったですね。

君が、仲間を殺した数 ―魔塔に挑む者たちの咎―

[著者:有象利路/イラスト:叶世べんち/電撃文庫]★★★

事前情報を持たずに
 とりあえず、あらすじを一切見ないで入った方がいいのかな? って思いました。確実に知らない方が衝撃度は増す。でも、知ってたら知ってたで、ある程度の予測が立つ為、色々想像掻き立てられる気分を味わえたりもする。どちらにせよ、面白さが極端に損なわれる事はないのでお好みで、と言う感じ。でも、大体事前にあらすじには目を通すかな? 未読の場合は情報なしで本編突入してみて欲しい。

定かでない淡い希望を信じで
 一言『塔の攻略』の物語。スカイツが言うには、巨大な『杭』が地上に突き刺さったような様子だとか。とある『目的』の為に、彼は最速で塔の最上階を目指す。何が何でも、ハッピーエンドを望まずにはいられない。最後まで描き切って欲しいですね。

バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~

[著者:竜騎士07/イラスト:はましま薫夫/電撃文庫]★★

バケモノ同士の出逢い
 初めて出逢った直後に、この茉莉花の常軌を逸した猟奇的な状況を見せられたら、そりゃ常人は速攻で逃げ出したくもなる。これは後々、主人公の磊一が茉莉花に寄り添い接する事により、本来の彼女の『本質』が見えて来るわけですが。確かに異常者=『バケモノ』であるには違いない。けれども、最初のグロテスク描写から抱いていた印象とは、大分違っていました。そう言う『仕掛け』も面白さに繋がっています。

同類だからこその適役
 磊一は、『バケモノ』がこの世で平穏に生きて行く方法を教え、間違えないよう正しい方向へ導く役割。読んで行く内に、「成る程、そう言う事だったのか」と、色々理解出来るようになって行く。この『気付き』へ向けての導き方も良い感じでしたね。

魔力を統べる、破壊の王と全能少女2 ~魔術を扱えないハズレ特性の俺は無刀流で無双する~

[著者:手水鉢直樹/イラスト:あるみっく/電撃文庫]★

新たな活動
 生徒会主導の特別奉仕活動に参加する事になった、円四郎、メリル、美夜の三人。それぞれに事情を抱えながら、二つの特別任務に挑む展開。円四郎は金の為、メリルは補習の一環で、美夜は成績低下からの名誉回復の為に。情報は少なく、二つの事件に関連性が見出せない状況から、徐々にその繋がりと大きな事態への発展を見せて行く。事件を追う最中で出逢った先輩・七海を怪しみつつも、顔を合わせた当初から彼女が解決への鍵と睨んだ円四郎は、積極的に絡んで行く事になる。

見たかったもの
  円四郎とメリルと美夜について。特性や能力、互いの関係性、『咒幣』が及ぼす影響。それら特に語って欲しいと思ったもの、殆ど見られなくて残念。

既刊感想:

幼なじみが絶対に負けないラブコメ5

[著者:二丸修一/イラスト:しぐれうい/電撃文庫]★★

極めて脆い一時的共闘関係
 黒羽、白草、真理愛の三人が末晴争奪で牽制し合っている隙に、横から思わぬ介入を許してしまうような展開。その名も『丸末晴ファンクラブ』。もう三人の内の誰が最も末晴の気を引けるか? の問題じゃなくなっていて、かなり茶番劇的な空気感もありましたけどね今回は。まあ恋愛要素でそんなに重たい空気にはならず、割と楽観的に眺めていられたので、軽い気持ちでいられた所は良かったのかな。

第四勢力
 新キャラの副会長・恵須川橙花さん。この分だと、3人の中に割って入るのは難しそう。とりあえず、末晴への想いに一応のケリは付けたようだし。でも、ここで終わらせるには惜しい貴重な『常識人』。今後も末晴達と絡む機会があって欲しいですね。

既刊感想: