SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

継母の連れ子が元カノだった5 あなたはこの世にただ一人

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]

BOOK☆WALKER

 冒頭から「前巻の終盤の“あの行為”は一体何だったんだよ!」って思わず叫んでしまいました。いや、ホントに一体何なんだよもう……。この件に関しては、完全に結女の方がダメでしたね。

 水斗の前ではどうしても素直になれない、探るように自分を誤魔化して仕掛けて逃げて後悔して身悶える、みたいな『悪い癖』がもろに出ちゃってました。見てるこっちは、ただただ「めんどくせえ」ってそりゃなりますよ。

 一度は水斗に振られたいさなが絡んでいた事も結女の情緒不安定さの一因で、ずっと面倒臭さが出ていたので。もう半ば「仕方ないなあ」と諦め呆れながら眺めてました。

 今回の本題は、そのいさなの方です。こっちも水斗に対して未練たらたらっぽい感じだったので、こりゃ大分こじれるかなあと言う不安な展開続きでした。でも、警戒していたよりはそうでもなかったかな? どうやらいさなの『本質』を結構誤解していたみたいで、その辺りの事を今回の件で詳しく知れたのは良かったなと思いました。

既刊感想:

継母の連れ子が元カノだった4 ファースト・キスが布告する

[著者:紙城境介/イラスト:たかやKi/角川スニーカー文庫]

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 『恋人同士』だった過去を振り切ろうとしながら、家族となった『きょうだい関係』を「何とか成立させよう」と自分に無理矢理言い聞かせている。今回は、特にその辺りの結女視点での感情の揺れ動きが際立っているように感じました。

 どうやっても過去は振り切れないし、その影響が現状の煮え切らない関係にもろに出てしまっている。もやもやの極限状態に近い雰囲気を味わった気分でした。

 元々感情表現の薄い水斗を責めるわけにもいかないし、気持ちが追い詰められ気味な結女を見てもどかしく感じるしかないし……いや、読んでいて精神的になかなかしんどい展開でしたね。

 そんな雰囲気だったので、とりあえず最後にはホッとした気持ちになれて良かったです。二人にとっては『仕切り直し』と言う感じで、色々と心に溜まったもやもやも解消出来たようで、次は今よりスッキリした気持ちで見られそうかな?(今度はラストのいさなの振り切れぶりがちと不安要素ですが……)。

既刊感想:

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん4.5 Summer Stories

[著者:燦々SUN/イラスト: ももこ/角川スニーカー文庫]

BOOK☆WALKER

 前巻での夏休み生徒会合宿イベント以外で、一冊では収まり切らなかった夏休みに起こったイベントあれやこれやをまとめた短編集。

 読み飛ばしても問題なく前巻(4巻)から次巻(5巻)読み進められるけれど、読んでおけば各登場人物の事を“より良く知った上で”先へ進める、そんな位置付けの今回のエピソード達です。

 本編ではあまり取り上げられる事の無かった人達の表情が色々見られたのが、個人的には結構な収穫だったかなあと言う手応え。これから本編メインで絡むかどうかは、ちょっと微妙な所から話を選択している辺りが良いですよねえ。

 印象に残っているものを挙げると、乃々亜、政近と有希の父・恭太郎、沙也加(の趣味)、統也と茅咲の馴れ初め、など。本編ではなかなか見られそうにない内容だったので、どれも興味深く面白いものばかりでした。

既刊感想:

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん4

[著者:燦々SUN/イラスト: ももこ/角川スニーカー文庫]

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 アーリャさんの『ボソッとロシア語デレ』の破壊力がとにかく凄まじかったです。前回のような、政近・アーリャと有希との『生徒会選挙戦』が影響した対立関係的な展開はほとんどなかった為、政近とアーリャのラブコメ成分がかなり際立っていた印象でした。

 政近と有希の関係は、選挙戦の駆け引きが絡んだピリピリ感と、日常生活での兄妹関係の緩んだふざけ合いな感じは別種のモノで。お互いに『それはそれ、これはこれ』と、しっかり切り替えが出来ているのかなあと感じたりもしました。

 他に今回の中で気になったのは、ちょくちょく触れられていた『政近の幼少期の記憶』に関する部分で。政近が触れて来た複雑で面倒な家庭環境などは大体把握出来て、あとハッキリしないのが幼少期に触れ合った『ロシア語の彼女』の素性について。ただ、結構ヒントは出ていたので「ああ、やっぱりそうか」って感じでしたね。

既刊感想:

時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん3

[著者:燦々SUN/イラスト: ももこ/角川スニーカー文庫]

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 あまり頻繁には出さず、ここぞと言う所で政近を“狙い撃ち”する。ボソッとロシア語でデレるアーリャの様子はさすがの破壊力。巻が進むに連れて、控え目な無自覚ピンポイント狙いが際立って来ているのは気のせいかどうか。

 もっとも、全体的な話の雰囲気を見ていると、アーリャの言動に身悶えしたり、政近とのいちゃいちゃ激甘ぶりが際立っているのとは、ちょっと違った感じなんですよね。どうも背景に『次期生徒会長選挙戦』が絡んでいる為か、身軽で明るいラブコメ展開にはなかなか振り切れない印象で。

 政近と有希の掛け合いは、兄妹漫才のようなおちゃらけ空気を含みつつも、互いが本気モードになると駆け引き全開でピリピリした雰囲気に一変したりする。ここが非常に面白く見応えのあるポイントではありながら、一方で政近とアーリャのいちゃいちゃをもっともっと見たいぞ、と思ったりもしてしまいます。

既刊感想: