SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

ジャナ研の憂鬱な事件簿4

[著者:酒井田寛太郎/イラスト:白身魚ガガガ文庫]★★

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (4) (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 (4) (ガガガ文庫)

 勃発した啓介と真冬の意見の対立、今回は啓介
の方に賛同したい気持ちでした。と言うよりは、
真冬の意見を認めたくない、正論で彼女に問い詰
められた啓介には安易に首を縦に振って欲しくは
ない、そんな思いが強かったのかも知れません。
 真冬が啓介に、推理と謎解きを用いて「こうし
て欲しい」と希望している事って、かつて啓介が
暴かれた相手の事を全く考慮せず、得意げに披露
していた事と何ら変わらないような気がして。
 ただ、苦い経験を経た今ならば同じ過ちは繰り
返さない、と真冬は確信を抱いていたようにも見
えましたが。ともあれ、拗れたままで終わってし
まったので、次でよりを戻して欲しいものです。

既刊感想:

クズと天使の二周目生活3

[著者:天津向/イラスト:うかみ/ガガガ文庫]★★

クズと天使の二周目生活 (3) (ガガガ文庫)

クズと天使の二周目生活 (3) (ガガガ文庫)

 一周目よりは確実に充実しているけれど、順調
に進んでいると何故だか不意にどうしようもなく
不安に駆られる時がある。今の桃也の様子がまさ
にそんな具合で、ラジオ番組制作の仕事は本当に
上り調子なのですが、「そうなんだけど、でもな
あ……」って素直に喜べない雰囲気が付き纏う。
 多分“恋愛禁止”の足枷が、徐々にじわりじわ
りと重く圧し掛かって来ているから、と言う気も
しています。エリィの監視が軽い注意程度で割と
大人しいのも妙に胸騒ぎがするし、凛と距離が確
実に縮まっているのも、その際に萌香の事が頭に
浮かんでいるのも物凄くヤバい感じだし。恋愛絡
みで今が破綻しない事を願うしかないですね。

既刊感想:

編集長殺し3

[著者:川岸殴魚/イラスト:クロ/ガガガ文庫]★★

編集長殺し (3) (ガガガ文庫)

編集長殺し (3) (ガガガ文庫)

 なんで採用しちゃったんだ。多分面接とかでも
うまい事本性ひた隠しにしてやり過ごしたんだろ
うなあ、とか容易く想像出来てしまえる程にガチ
でヤバいやつでした。“憎めるタイプの後輩”っ
て一体どんな表現だよ、と最初の頃は思っていた
ものでしたが、小山内の狂気に触れてこれ程しっ
くり来る表現は他にないと思い知らされました。
 それでも一応、物怖じしない超強度なメンタル
を見せられた川田が評価を見直す場面とかもあり
ましたけど、結局何をやってもトラブルメーカ気
質で制御し切れない爆弾には違いないからなあ。
 まあ幼女編集長が小山内を強制排除しないのは、
まだ使える何かが残っていると言う事なのかも。

既刊感想:

クロハルメイカーズ2 最初のファンとラブコメと友情の作り方

[著者:砂義出雲/イラスト:冬馬来彩/ガガガ文庫]★★

 創作意欲の再燃で持ち直した筈の微かな好感度
が、今回の初っ端から地に落ちてしまっているじ
ゃないか。相変わらず逃げを打つ際の言い訳や屁
理屈こねる時だけはべらべらと饒舌になりやがっ
て……生みの苦しみからの逃げ癖が改善しない以
上、湊介は小説執筆を始めとする創作活動全般か
ら一旦距離を置いたいいんじゃないだろうか。
 ただ、実は自分の為だとあっさり堕落するけれ
ど“他人の為なら全力を尽くす”性質に気付かさ
れる内容でもありました。眺めていての気持ちと
しては、湊介の創作意欲に期待したい所なのです
が、他者の才能を最大限に活かす能力に長けてい
るなら、そちらに期待を寄せるべきなのかも?

既刊感想:

妹さえいればいい。10

[著者:平坂読/イラスト:カントク/ガガガ文庫]★★

 伊月のデビュー作がいかに頭のイカれた内容で
あったか、と改めて証明されてしまった。いや、
“千尋が性別偽り続けた原因だった”と言う事の
方が重要なんですけどね。さすがに再婚から破談
の話にまで及ぶと……笑えないヤバさでしたよ。
 で、本題の千尋カミングアウトの件。伊月が割
と平静なのを見て、何となく「あえて本心押し殺
している?」みたいな雰囲気もありまして。居合
わせた土岐の予感も嫌な空気を醸し出していまし
たが、後々暴かれたのは思っていたのとは全く逆
の深層心理でした。むしろ千尋を異性と意識して
しまうような感情の方がまだマシと思える程に、
この伊月の症状は深刻なものに感じられました。

既刊感想: