SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

君死にたもう流星群2

[著者:松山剛/イラスト:珈琲貴族MF文庫J]★★

君死にたもう流星群2 (MF文庫J)

君死にたもう流星群2 (MF文庫J)

 やっぱり大地が一人で未来の事情を背負って過去
を進んで行くには、あまりに苦しくて重い。誰にも
打ち明けられないのも、自分の行動のせいで友人の
進路を変えてしまった事も、大地に辛く圧し掛かっ
てしまう。更には星乃の命を奪った原因である『流
星群』の真実には一向に近付けず苛立ちも募る。
 頑張って足掻いてみても八方塞がりな状況で、手
掛かり掴んで踏み込み過ぎれば命の危機に晒されて
しまう。このままだと、上手く行かずに自身を責め
る大地の精神の方が参ってしまうんじゃないかと。
 でも、これまでの“コスパ”主義からは徐々に変
わり始めていて、涼介の進路を一度目とは違う形で
自力で呼び戻した所はとても印象に残りました。

既刊感想:

君死にたもう流星群

[著者:松山剛/イラスト:珈琲貴族MF文庫J]★★

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

君死にたもう流星群 (MF文庫J)

 現在の荒み切った大地から放たれる退廃した空気
や臭いが、目を背けたくなる位にあまりにきつくて
辛くて。たとえ副作用の危険が伴う上に帰れる保証
のない片道切符だとしても、思い切った決意で無事
に過去跳躍を遂げた瞬間、「腐った状況から抜け出
せた!」と、ホッと胸を撫で下ろしていました。
 とは言え、星乃を救う為に未来の事情を大地一人
で抱えて立ち向かうには、どう手を出せばいいか戸
惑う程に途方もない事。“無数の人工衛星の同時落
下を回避する”所まで辿り着かなければならないわ
けで。もしかしたら他の回避方法があるのかも知れ
ませんが、少なくとも原因究明しなければならず、
想像を絶する険しい道が待ち受けていそうです。

物理的に孤立している俺の高校生活5

[著者:森田季節/イラスト:Mika Pikazoガガガ文庫]★★

 もしも業平が“異世界に召喚された俺がチートス
キル『ドレイン』で無双する”とかだったら大活躍
出来たかも知れないのに……と、彼の不遇な現状を
見て思う。慣れてる業平が既に初っ端から心が痛い
とか言ってるけれど、見てるこっちも心が痛いよ。
 毎回繰り返して確認してるような気もしますが、
他者の生気を吸収する異能力のせいで業平に近寄れ
ないだけであって、決して嫌われたり苛められてい
るわけじゃない。だから余計に自力ではどうにも手
の施しようがない無念さが込み上げる。友人問題、
恋愛問題、じわりじわりと業平に歩み寄って来てい
るような状況で、明確な回答が得られなかった汐ノ
宮と愛河の件に業平はどう向き合って行くのか。

既刊感想:

月とライカと吸血姫4

[著者:牧野圭祐/イラスト:かれい/ガガガ文庫]★★

 連合王国女王なのに発言権を抑制され、本当は宇
宙開発に興味津々で言いたい事が溜まりまくってい
るのに発散も出来ず、象徴だけの飾り物にならざる
を得ないサンダンシアの様子が歯痒くて仕方ありま
せんでした。なので、終盤の勇気ある発言は本当に
良いものでした。よくぞ言ってくれたって感じで。
 今までも、口出したい反抗したい気持ちを抑え付
けられ、儘ならない事は幾つもありました。その度
に誰かが奮い立って世間に自分の思いの丈を主張し
てみせる。今回は特にバートがその役割を充分に担
ってくれていたんじゃないかなと。こうなってくれ
たらいいのに……と呟いていた“共同開発”へ微か
に前進。ただ、何か不穏な予兆もあるようで……。

既刊感想:

やがて恋するヴィヴィ・レイン7

[著者:犬村小六/イラスト:岩崎美奈子ガガガ文庫]★★★

 好きな子ほど苛めたくなる感情。捻じれ曲がった
ジェミニらしい。失意のどん底から一転、ファニア
にルカの生存を知らされた途端に息を吹き返す。そ
してルカの事が好きで好きで大好きで溜まらないア
ピール。可愛いやつだと思わされてしまいました。
 最終巻。主に散々虫けらのように見下され続けて
来たエデンとの最終決戦、と言う流れでした。常に
互いに強く思い合っていたルカとファニアは、なん
か最後は二人らしい道を辿る結末だったなあって。
 そして、シルフィとの約束を果たす為だけに全力
で駆け抜けたルカ。タイトルに込められた意味を最
後の最後で感じ取れた事。ヴィヴィとここへ辿り着
けた事。報われた気持ちで心が満たされました。

既刊感想: