SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件5

[著者:佐伯さん/イラスト:はねこと/GA文庫]

 もう「いちゃいちゃしてるなあ」以外の言葉が出て来ませんでしたよ。全編余すことなく周と真昼の幸せ絶頂の激甘な雰囲気を見せ付けられて、一体他に何を言えばいいんだろう? と考えた結果、他に余計に言う事も無いなと結論に至りました。

 でも、なんかこう、慌てず急がずマイペースにって感覚が、周と真昼らしいなあと思いましたね。何か特別な事が起こっているわけではないけれど、付き合って二人一緒に居られることが“もう既に特別”みたいな。そう言う空気感を、ごく自然に醸し出してくれる辺りが本当に堪らないんですよね。

 そんな中で、特に印象的に映ったのは、周の『変化』を強調して描いているなと思わされた点。学科でも、外出先でも、二人きりの時でも、帰省先でも、周に『これまでとは違う』良さみたいなものが随所で感じられて、その描写も際立っていました。

 それもこれも全部、真昼の事を大切に想っているからこそ。彼女と堂々と並び立つ為に、彼女と一緒に幸せを築きたくて、内面も外見も変えようとして、その姿勢が実を結んでくれたんじゃないかなと。

既刊感想:

どうか俺を放っておいてくれ なぜかぼっちの終わった高校生活を彼女が変えようとしてくる

[著者:相崎壁際/イラスト:間明田/GA文庫]

 第13回GA文庫大賞『ガンガンGA特別賞』受賞作。

 意気込んで高校生活スタート、からの灰色ぼっち青春な高校卒業間際まで一気に進み、咄嗟の判断で他者を助ける為に車に轢かれてデッドエンド……のはずが、何故か生き返っていて、3年前の高校入学前からのやり直し生活を送る事になってしまう。

 まず最初に「何故こんな現象が起こった?」の疑問ですが、多分これ解かれなさそうですね。現状全く見当も付かないので、もし回答が用意されていたとしても、種明かしは当分先の事になりそうです。

 なので、その辺の事は今は深く考えずに、ぼっちマスター穂高の二度目の高校生活、後悔しかなかった一度目との違いに注目して行きたいと思います。

 もう既に、空や瑠璃や真白と交流出来ている時点で、一度目の状況から激変しているわけですが。どうも穂高は『進んで望んでぼっちになりたい』気質なようで、そこを変えたいと思う気質の異なる空との関係性は、やっぱり今後も気になる所ですね。

 あと気になっているのは、空が過剰に穂高のぼっち状況に介入している所。自分のせいで死なせてしまった負い目があるから? 一回目から穂高を知っていて意識していた? 秘めた好意的感情が突き動かしている? もっと彼女の内面を知りたいですね。

ただ制服を着てるだけ

[著者:神田暁一郎/イラスト:40原/GA文庫]★

 第13回GA文庫大賞『金賞』受賞作。

 三十路おじさん主人公と、十九歳未成年女子との年の差半同棲生活モノ。あと広巳と明莉の関係性を語る上で欠かせない、『JKリフレ』と風俗との差異、などについてにも詳しく触れられています。

 まあ、予想通りにお互い面倒な事情持ち。どちらかと言えば、独白で包み隠さず口汚くに吐露している分だけ、明莉の内面の方が把握し易かったです。

 広巳に関しては、明莉の立場からすれば、性欲を抱きながらも抑制出来ている心情が理解不能、と言っている気持ちも凄く良く分かるなと。途中で幾度か広巳の抱える『事情』が見え隠れしながらも、長らくその肝心な部分が見通せなかったんですよね。

 で、終盤で広巳の独白による種明かし。思わず「それはズルいよ……」と言葉が漏れてしまいました。でも、決して批判的否定的な意味ではなくて。これはもう、心に突き刺さるに決まってるんですよ。

 とにかく有無を言わせない説得力。捻じ伏せられるかのように納得させられました。結局明莉に全ては語る事は出来なかったけど、何となく察して理解出来てはいますよね。この複雑な歪みを抱きながら共存する関係性、追い続けて行きたいですね。

妹の友達の美人ヤンキーJK 世間知らず過ぎて世話を焼いていたら惚れられました

[著者:マリパラ/イラスト:一乃ゆゆ/富士見ファンタジア文庫]

 そもそも『ヤンキー』とは何か? ふと考えてみて「そういや正確にはなんだろ?」って疑問を抱いて、読みながら何となく検索したりしてました。

 結局捉え方の範囲が広過ぎて、“これ”と言った明確なものは掴み切れませんでしたけど。ただ、そこから抱いたイメージとしては、この物語のJK達を『ヤンキー』と括るのは、ちょっと違うかなあって、何となくしっくり来ない手応えもありました。

 まあ、悪ぶってるけど『根は良い子』達なんですよね。本物の素行不良の非行少女だったら、ツカサなんかもっと精神的にボロカスな扱いされてたと思うよ。その辺りの事を考えると、少なくとも悪いイメージとしては見られなかったかも。むしろ『性格の良い子』感が際立ってたんじゃないかな?

 エリカの家庭環境に対してのツカサの介入的行為については、個人的にはちょっとどうかと思う部分もありました。でも、とりあえず大事に至らず済んで、良い方へ進んでくれたのでホッとしました。

大罪ダンジョン教習所の反面教師 外れギフトの【案内人】が実は最強の探索者であることを、生徒たちはまだ知らない

[著者:御鷹穂積/イラスト:へいろー/富士見ファンタジア文庫]

 ダンジョン探索と、その探索に必要な『免許証』を得る為の『訓練所』での勉学などが物語のメインイベント。地下七階層で、最下層まで到達しているようなので、未開の地みたいな不透明さは無く、探索自体は案外進んでいるのかなあって印象でした。

 何故『七つの大罪』の特徴が階層ごとに見られるのか? と言う疑問は、結局ハッキリとは分からず。ダンジョン自体も、実際の所あまり深い掘り下げは見られず、まだ結構謎な部分は多いですよね。

 本作で最も重要なのは、世間一般には知らされていない、第七階層の下の『第八階層』。到達者には『死者蘇生』の願いが叶うと言われており、アレテーはそこを到達を目指してディルに教えを受けている。

 第八階層に関しては、ディルがかつて到達した事と、その上で彼の身に何が起こったか? について語られていましたが、ダンジョン内部の実態は、やっぱり色々分からない事が多いです。アレテーが順調に資格を得て行き、ダンジョン探索要素が増えて行けば、更に深い詳細まで知る事も出来るのかな。