[著者:SOW/イラスト:三弥カズトモ/ガガガ文庫]
テーマは『脱税』と『資金洗浄』。
毎度のごとく、「実に絶妙な分かりやすさで物語に取り入れているなあ」って印象でした。基本的な所から発展して行くと、段々と理解が難しくなるもので、この物語のもその傾向は少なからずあると思います。前巻ぐらいから「難易度上がっているな」という実感です。
ただ、それでも税法の仕組みをなるべく分かりやすく描くことを意識しているのが感じられ、物語としての面白さも充分得られている。その『質』がずっと保たれている所が凄く良いですよね。
あと今回は裏テーマとして、『生活保護受給』と『その状態からの脱却』と『自立』と『支援活動』みたいな要素も含まれていたのかなと。この辺りは、かなり現実的な描き方だったように感じられて、物語の中ながらちょっと色々考えさせられる所もありました。
物語の展開の方は、とんでもない幕切れて茫然となりました。いやホントに、「どうなっちゃうの?」って具合で。話が佳境に差し掛かりつつある予感がしていて、どうやら次がシリーズ最大の山場となりそうですね。