SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

TS悪役令嬢神様転生善人追放配信RTA 嫌われ追放エンドを目指してるのに最強無双ロードから降りられない

[著者:佐遊樹/イラスト:ぬくもり/KADOKAWA]

BOOK☆WALKER

 事故で死んだ男が乙女ゲーム世界に転生して性転換して悪役令嬢になって追放されるまでを『生配信』し続けるような……苦行? 現実世界で言ったら、YouTubeで目標達成(ゲームクリアではない)までひたすら実況生配信を続けなければならない、後日配信や編集は一切ダメ、と言った感じでしょうかね。

 大勢の視聴者(この物語の場合は神々?)の監視付きなので、外野の余計なコメントは結構気になるものかも知れない。もっとも、主人公のマリアンヌはそう言った部外者の横槍も含めて、案外リアルタイムアタック生活を満喫しているみたいですけどね。

 『追放される事』が主な目的なのに、ことごとく真逆を行って『良い人』『出来た人』な印象を着実に築き上げている所が面白い。マリアンヌ自身の性格的に、また今置かれている状況的に、悪役として追放されるのは難しいんじゃないかなあ……と思ったりするんですけど、この先どうなうでしょうね。

俺のクラスに若返った元嫁がいる2

[著者:猫又ぬこ/イラスト:緑川葉/講談社ラノベ文庫]

BOOK☆WALKER

 前半の柚花に起こった出来事を受けて、「ウソだろ……?」って思わず唸ってしまう。やり直しのラブラブバカップル絶頂期だっただけに、かなり意表を突かれたと言うか、まさかの出来事に茫然でした。

 もっとも、不意の障害みたいな状況をダラダラと引きずらないのがこの物語の良い所で。航平の献身的な頑張りが、すぐに実を結ぶように救われる展開がストレスなくていいんですよね。その後で同じような事が航平の身にも起こるわけですが、その時は柚花の思いを信じて安心して見ていられましたよね。

 結局「柚花の父親が元凶じゃないの」とイラついた感情で眺めてましたが、その辺は誤解して見ていたようでちょっと反省(でも紛らわしいんだよ親父さん)。

 あとは今回結構いい感じの締めでしたけど、更に続くならどう展開して行くでしょうね。赤羽根先輩が絡むか、タイムスリップの謎の要素が絡むか……何にせよ、二人には幸せなままで居続けて欲しいです。

既刊感想:

俺のクラスに若返った元嫁がいる

[著者:猫又ぬこ/イラスト:緑川葉/講談社ラノベ文庫]

 不仲で離婚した主人公夫婦が、交通事故で揃って12年前の高校入学直前にタイムスリップ。もちろん?原因は不明。

 航平の方が、ずっと気付いてないふりして誤魔化す展開になるのかと思いきやそうでもなく。また、柚花との関係がなかなかうまく行かず、互いに素直になれずもやもやさせられるのかと思いきやそうでもなく。

 もう途中から「一体俺は何を延々見させられているんだ」と呆れるくらいのいちゃつきっぷりで、案外素直によりを戻したような印象でした。この辺りの描写は、『焦らされ具合』によって好みが分かれるものかも知れません。

 個人的には、未来での夫婦不仲をあまり引きずらずに、二人とも割と早めに素直になれて良かったかなあって感じでした。

安達としまむら6

[著者:入間人間/イラスト:のん/電撃文庫]

 夏休み後半戦。しまむらはお盆に母親の実家へ里帰り、安達は急に遠く離れる事になってしまった(と言ってもたった3日)しまむらを思って悶々とする。

 今回で一番印象に残ったのは、何でかは分からないけど、しまむらと実家の老犬ゴンの関係性のについての描写でした。なんか凄く重くて意味深な雰囲気を醸し出していて、でも結局何を伝えたかったのかと考えるとうまく言葉に出来ないような、どうにも複雑な心境を抱いてしまました。

 しまむらって、あんまり深く考えない投げやり気質なのかと思ってたけど、何もかも面倒臭いからそう振舞っているだけで、本当の所はそんな単純に理解出来ない本質を抱えてるのかなあと。

 安達が“もにょもにょ”しながらもストレートに『好き』をぶつけてるのに比べると、複雑に考え過ぎてしまうのを無意識的に回避しようとしているしまむらの方が、よっぽど面倒臭さを持ち合わせて生きているのかも知れません。

既刊感想:

エンジェル・ハウリング8 帝都崩壊(2)―from the aspect of FURIU

[著者:秋田禎信/イラスト:椎名優/富士見ファンタジア文庫]

 偶数巻のフリウ編。結局フリウは何も分からないままで、どこまでも分からない事を抱えながら進んでいる。物語が佳境に入りつつあっても、このハッキリと掴めない“曖昧さ”が常に付きまとう。

 もう、あえてそう意図的にストレスがのし掛かるような描写を仕込んでいるとしか思えない。特に精霊アマワの契約とその内容のついて、見えそうで見えない、手が届きそうで届かない不確かさが残り続けています。

 とは言え、今回ベスポルトがフリウに語った内容によって、これまででもっとも真相に近い所まで語られていたように思いました。それでもなお真実には届いていない感覚なので、読んでいてずっともどかしい気持ちになっています。

 この話の裏で行われていたミズーの事が次巻ミズー編最終話に来て、その次のフリウ編最終話で全ての謎が解かれる……と願いたい。現状うまく収束して着地するイメージが湧かないので、そんな不安を見事に覆してスッキリした気持ちで終わりを見せて欲しです。

既刊感想: