SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

銀河鉄道の夜を越えて ―月とライカと吸血姫 星町編―

[著者:牧野圭祐/イラスト:かれい/ガガガ文庫]

英雄たちの偉業に焦がれて

 本作は次世代J-POPアーティスト『H△G』と、『月とライカ』のコラボライブの声劇用に、WEBで連載されていたものが原作なのだそうです。

 レフとイリナの偉業に感銘を受けた日本人の少女・ミサ。平凡な自分が、宇宙飛行に関連した職業を目指すべきなのかどうか? そんな大きな苦悩を抱えながら、謎の少女アリアと共に、『銀河鉄道で宇宙を旅する』と言う不可思議な体験をする事に。

 夢か現実か、曖昧な境界線。それが幻想的な雰囲気を醸し出していて良いですよね。どちらにしても確かな経験としてミサの心に残り、将来の歩みの背中を押してくれる。読後感も素晴らしいものでした。

既刊感想:

鋼鉄城アイアン・キャッスル

[著者:手代木正太郎/原案・原作:ANIMA/イラスト:sanorin/メカデザイン:太田垣康男/ガガガ文庫]

徳川家康×変形ロボットアクション

 織田信長が天下統一の野望を抱き、躍進している頃。まだ未熟な、徳川家康の少年期・松平竹千代が主人公の物語。『城が巨大ロボットに変形する』と言う大胆な設定を用いて、各城主達と巨大ロボット同士のド派手なアクションが繰り広げられます。

 少年期の家康=竹千代。当主としての統率能力や精神面はまだまだ未熟で、信長の影響で『のし上がりたい思い』だけが空回り先走ってしまう。更に身体に病魔を抱えている悪影響もあり、竹千代の失敗と挫折を見て幾度も歯痒い気持ちになってしまう。

 そんな竹千代が、幾度もの苦難を乗り越えて、当主として成長を遂げて行く。自信と心の強さを確実に得て行く手応え。存分に味わえる仕上がりです。

天才王子の赤字国家再生術9 ~そうだ、売国しよう~

[著者:鳥羽徹/イラスト:ファルまろ/GA文庫]

連合国家を引っ掻き回す

 前に知り合った選聖候アガタの依頼で、彼が顔役を担うウルベス連合国の問題に介入する事になるウェイン。彼としては、表向き自国ナトラの新たな貿易相手を探す目的で、ウルベスへ遠征する事に。

 ウェインが嬉々として首を突っ込んだ時点で、彼の掌の上で踊らされるのは確定されたも同然。あとは、どんな風に主導権を握り、場を完全掌握して事を収めて見せるか。興味が向かう先はその一点。

 ただ、あまり大事ではない印象だった今回の件に対し、『後の歴史に大きな影響を与える』みたいな表記がありまして。ちょっと気になる所ですよね。

既刊感想:

友達の妹が俺にだけウザい7

[著者:三河ごーすと/イラスト:トマリ/GA文庫]

明照とゲーム運営の方針お話

 彩羽と真白の母親の急襲は、今回の本題への前振り。本題は、『5階同盟』が手掛けるゲーム運営に関わる内容。自身やメンバー達の活動方針に悩む明照が、方向性に答えを見出して行くようなお話。

 ラブコメは控え目で、ゲーム運営に関わる事がメインだった印象。ここに二人の母親の言動と存在感が、明照に多大な影響力を与える、みたいな展開でしたね。この決断が吉と出るか凶と出るか、それは今後の明照の手腕次第。今はその事よりも、波乱必至な間近の修学旅行イベントを楽しみに待ちたい。

既刊感想:

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件4

[著者:佐伯さん/イラスト:はねこと/GA文庫]★

決定的に変化しそうな予感

 これまでと、何となく物語のまとう雰囲気が違っているかも……と感じたのは、主に周の意識変化を見たから。真昼を思いながら、「自分を変えたい」って気持ちや意気込みが伝わって来たんですよね。

 周って、自分が生きる事になるべく労力を使いたくない、目立ちたくも無いし、何かに熱中気もない(真昼は除く)。そんな彼が何かにやる気を見せるって事自体が、凄く際立っていたんですよね。

 大きな何かが起こるような、そんな予兆。大きな変化が起こって欲しい、そんな期待感。今回確かにありましたよね。そして結果は、期待以上でした。

既刊感想: