SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

とらドラ6!

[著者:竹宮ゆゆこ/イラスト:ヤス/電撃文庫]

 北村、壊れる。何もかもを投げ捨てて、理由を語る事なく暴走に暴走を積み重ねる回。「ヤバい」と感じる範囲を軽く振り切ったイカれぶりでした。

 これまでの北村って、竜児の親友で地味な優等生的脇役な立ち位置だったので、「ここまでやるかー」って具合で結構な驚きでした。なんか、精神がやられると一気におかしな方向に振り切っちゃう奴だったんですねえ。

 ただ、今回の件で目一杯本性を曝け出してくれて、抑圧していた気持ちを爆発させて吹っ切れて良かったかなあ、とも思いました。竜児と大河とっても、北村の本音をより深く知る事になったわけで、その点で言えば辛いながらも報われる部分もあったのかなと。

 すみれは強烈な個性の塊だったので、ここでの退場はちょっと惜しいかも? 出番は少なかったけれど大いに暴れまくってくれたので、印象に強く残る人でしたね。

既刊感想:

薬屋のひとりごと10

[著者:日向夏/イラスト:しのとうこ/ヒーロー文庫]

 西都編の続き。これまでに何度も話題に上がっていながら、なかなか本題として浮かんで来なかった『蝗害』について。バッタの大群による公害みたいなもので、猫猫や任氏が西都に滞在するこの時期の真っ只中についに襲い掛かって来ました。

 それでも“来る”と言う予兆はあったので、出来る限りの事前対策をしたにもかかわらず、被害の爪痕を西都周辺に残してしまいます。と同時に、この騒動を経て、任氏は『何故自分が西都へ呼ばれたのか?』に対しての気付きを得る事にもなりました。

 まあ、西都の統治者である玉鶯がどうしてそんなことをするのか、現時点では思惑が掴めていないわけで。そもそも玉鶯とは顔合わせすらしてませんからねえ。人物像が把握出来ないのも仕方ない所なのかな。果たして今後、任氏や猫猫との対峙があるのかどうか。

既刊感想:

空ノ鐘の響く惑星で5

[著者:渡瀬草一郎/イラスト:岩崎美奈子/電撃文庫]

 カシナート司教の思惑通りに事が運び始めている状況。フォルナム神殿の権利を剥奪してウーィタ神殿の支配下に置き、タートムと結託する事でアルセイフを侵略し、大国ラトロアに対抗する勢力を得る事、だと言う大筋は見えてきたように思いました。

 もっとも、カシナートが大事を起こすに至った動機や切っ掛けみたいなものは、今の所ハッキリとは見えていない。カシナート自身についてはまだまだ謎の多い存在ですが、フェリオが劣勢に立たされながらも食い下がっていれば、いずれ見通せない心の奥底も見えて来るようになるのかも知れません。

 カシナートに侵略されたフォルナム神殿。タートムに攻め入られたアルセイフ。度重なる危機的状況下に置かれる中、決して諦めない心を持つフェリオがどう打開して行くか。大きな山場を迎えつつある展開で、盛り上がりに期待が高まります。

既刊感想:

安達としまむら4

[著者:入間人間/イラスト:のん/電撃文庫]

 “重い女”こと安達、本領発揮の回。二年生に進級してしまむらと同じクラスになって「やったー!」って心の中で雄たけびを上げて、でもそれが持続しないのが安達らしい言えばとても安達らしい。

 周囲の環境が変わればしまむらのクラスメイト付き合いも変わり、そこに巨大な壁が見えてしまった安達は脱落して逃亡、みたいな展開でした。逃げた先でもしまむらの事が忘れられず、それどころか会わない選択を取ったせいで余計に悶々と思いを募らせてしまう安達。今回は特にもの凄く面倒臭い女でした。

 まあその面倒臭さが「安達らしいなあ」と妙に微笑ますく映ったりもするわけで。ただ、決意を込めたちょっと前のめり過ぎに暴走気味だった安達の感情が、しまむらにどう受け入れられるのかはとても心配でした。

 後半の展開での二人のやりとりを眺めている感じでは、しまむらは「やれやれ」と思いつつも好意的に安達の事を受け留めてくれているので、ちょっとホッと出来たかな。

既刊感想:

薬屋のひとりごと9

[著者:日向夏/イラスト:しのとうこ/ヒーロー文庫]

 今回より『西都遠征編』に突入。少なくとも遠征期間が3ヶ月かかるようなので、結構長丁場なエピソードになりそうです。目的は、玉葉后の異母兄が統治する西都の視察と、自国に対する関係や軍事力の把握、みたいな所にあるようです。

 任氏が一番上の立場で遠征を任せられた部分には、それとは別に複雑で面倒な王室絡みの事情が含まれていたわけですが、猫猫にはほとんど関係が無いのに勝手に深く事情を知らされてしまうと言った状況でした。

 任氏がそうなるように仕組んだ事でもあり、前巻の『暴走』から猫猫が専属で世話をしなければならなくなった事情もあり、全く望んでなくても仕方なしと言った所でしょうかね。話の流れとしては、目的の方向性がしっかり定まっていて、面白く盛り上がって行きそうな長編展開だなあと思いました。

 あと、今回の描写で強調されていた『医療現場に携わる意味と覚悟』を突き付けられた件について。今後の展開で猫猫の行動や思考に影響を及ぼす事になるのかどうか、ちょっと気になる要素でした。

既刊感想: